大会長挨拶

2022年(令和4年)9月15日(木)、16日(金)、17日(土)の3日間にわたって、京都大学芝蘭会館本館および別館を会場として、第45回日本精神病理学会学術総会を開催いたします。「雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ武器ニモ流行り病ニモ負ケズ対面式(従来式)開催を敢行」と大見得を切ってはみたものの、大言壮語する傾奇者ほど小心なるは世の常で、2020年夏に45回大会長を拝命して以来、疫病、地震、台風、戦争などに怯えおののき半泣きになりながらも愚直に準備を進め、ようやく4年ぶりの対面式大会復活にこぎつけ感無量でございます。田舎医者である私ごときの微力で夢は到底かなうはずもないところ、学会員の皆様方および多数の企業様のご支援により実現の運びとなりました。この場をお借りして心より御礼申し上げます。
 本大会のテーマは「挑発する精神病理学―満漢全席への招待」であります。学術総会の2大目的である研究と教育の前者に重心を置き、刺激的で斬新な講演と口角泡を飛ばしあう激論によって精神病理学の新境地を切り開く所存です。「美味しい料理ほど滋養に富むという中華料理のコンセプトに倣うなら、面白い研究ほど教育にも資する」という告知文の一節は半ば偽りで、背油をどっさり使った絶品麺料理で腹を痛める場合もございます。少々健康を損ねるくらいは厭わず美食三昧を楽しみたい、その一念で、厳選された最高食材を熟練の腕で仕上げた特別料理のみを用意させていただきました。慣例としては大会自体が2日間で本番前夜に夜話会が催されますが、今回は欲張ってシンポジウムを4つ組みましたので夜話会はございません。1日目の9月15日(木)17時~19時30分のシンポジウム Ⅰ「シュナイダーを裏切るシュナイダー」で開幕し、3日目の9月17日(土)14時30分~17時のシンポジウムⅣ「追悼木村敏先生」で閉幕となります。
 2特別講演、4シンポジウム、3ランチョンセミナーが一級演者登壇により空前絶後のクオリティなら、多数ご応募いただいた一般演題もまた百花繚乱で、「満漢全席」の名に恥じない贅沢なフルコースとなっております。掉尾を飾るシンポジウムⅣでは44回大会に続き、2021年8月4日に逝去された世界の木村敏先生を偲びながら稀有壮大たるご業績を議論・総括・展開いたします。必ずや皆様の記憶に残る45回大会となりましょう。なお、収容人数の関係で4会場になってしまい、ご参加の方々におかれましては移動に要する歩数が多めになるかも知れないことをお詫び申し上げます。
9月19日(月)が祝日(敬老の日)でございますので、大会終了後の京都遊山もまた一興かと存じます。できる限り多くの皆様方のご上洛を指折り数えてお待ち申し上げております。

2022年7月吉日
第45回日本精神病理学会学術総会大会長
芝 伸太郎